こんにちわ!Saitani(@Saitani_UK)です。
まだ働き始めたばかりではあり、今回書いた記事の内容が今後も不変ではないのですが、JICAを目指す方にとって少しでも有益になるのでと思い記事にしました。
はじめに
今回の記事テーマは、恐らく日本人で国際支援に興味を持ったことがある人なら、必ず1度は就職を考えたor考えるであろうJICA。。。
今回は、元コンサルとして様々葛藤を持ち、結果的にJICAに再就職した私の観点から①新卒入構と中途で入構することの利点、②JICAで技術力は習得できるのか?、③有期職員の待遇について記載していこうと思います。
下記のような方には多少有益な記事になっているかと思います。
- これから新卒として国際支援に関わろうと思ってる方
- 中途でJICAに入構してみようかと思ってる方
- 有期職員のポストをちょっと狙っている方
- JICAで役に立つ留学経験
新卒、社会人採用(中途)どっちの方が良い?
JICA↔開発コンサル間の人材移動
実は、私は新卒として就職活動をしていた時、JICAの面接を受けたことがあります。
ですが、先にコンサルから合格の結果をもらい、元々コンサル志望だったのもありJICAの2次or3次面接?はほぼ対策せずに行き、しっかり落とされた経験があります。
というのも、当時開発コンサルやJICAに就職しているOB・OGの方から話を聞いて際、「JICAからコンサルに行く人は少ないが、コンサルからJICAに行く人は多い」という話や、「コンサルを経験してからJICAに入構すると重宝される」等という話を聞いていたので、実はJICAに合格しても開発コンサルに行こうと思っていました。
実際に、私のかつて勤務していたコンサルタントでは、JICA職員からコンサルの事務系の部署に転職された方もいましたが、技術系の部署には恐らくいなかったのではないかと思います。
一方で、青年海外協力隊から戻ってきた方は、技術の部署にも数人いたと思います。
JICAには様々なAcademic Backgroundを持った人がいたり、全く技術的なことを扱わない部署も多々ありますし、運よく技術を扱う部署に配属になっても職員の場合は1年半~4年半で他部署にローテーションしてしまうので技術力の養生は難しいことが予想され、JICAから開発コンサルへの転職という流れが起きにくいのかな、と思っています。
言うまでもなく、私は知っているのは以前勤めていた開発コンサルと、ごく少ないコンサル会社の話なので、コンサルによっては元JICA職員が多い場所もあるのかも知れません。
技術的な部署に配属になる人は、業務支援系の部署にローテーションで行くことなく、複数回技術的な部署に配属になることも多いようです。
そうなってくると、コンサル等で技術を学んだ方というのはJICAにとって貴重な存在になることは間違いないように思います。
新卒と中途でJICAに就職することの難易度の違い
ただ、JICAに新卒で入構する場合と中途で入構する場合では1点決定的な違いがあります。
それは「語学力」です。
新卒の場合は、特に語学力について明記されていませんが、社会人採用の場合はTOEIC860点以上が求められます。
新卒の際に、「語学力」に関して明記はありませんが、実際にはJICAの新入社員の人は留学経験がある人が多く、英語力は高い印象です。
この860点以上というのは、JICAのプロポを作成したことのある人なら一度は見たことがあるであろう「語学能力の能力基準」における最高評価である「S基準」です。(下表参照)
上記に記載した通り、必ずしもこの「S基準」がJICA内で英語力が高いかと言われれば微妙ですが、30歳以上の中堅クラスの中では英語ができる方には分類されるのかなと思います。
結論としては、S基準の語学力を要し、技術的な知識・経験があると、かなりJICA内では有利に働けるのかなと私は思います。
2024年9月時点 プロポーザル作成要領 (jica.go.jp)
コンサル経験が役に立っている業務(業務管理)
「業務管理」と記載すると「?」な人が多いと思います。
これは、いわゆるコンサルとの協議を通じながら、業務の進捗を管理したり、必要に応じて業務目的を達成するための活動を拡大したり、縮小したりすることを言います。
コンサルタントに何か提案する際は、私自身が実際にやったこともある作業も多いので、労力的にコンサル側にそれほど負担がなくて済む実現な解決策等を提案できる点は良いのかなと思います。
一方で、コンサルだけに関わらずクライアントやその他の象徴から技術力のない金貸し機関のように思われている気が少しあり、JICAの人間が技術的な解決策を「一緒に考える」ということを求めていない担当者もいるように思います。
JICAに新卒からいることのメリット
一方、新卒からJICAにいる方は、私と同じくらいの年齢の人(30歳)でも、コンサルチームの一担当者であれば絶対に発言しないであろう相手国政府との会議等でも、堂々と発言できる人が多く、場数の違いを感じます。
また、JICAが提供できる支援の提案や他部署との連携を考慮したプロジェクトの進め方等、コンサルタント時代と比較すると、業務全体や対象国全体の動向を把握しながら業務を進められる方が多い印象です。
JICAで技術力は習得できるのか?
専門分野はJICAに入構した後でも伸ばせるでは?と思う方もいると思います。
結論から言えば、個人の努力次第なのですが、コンサルタントと比較するとより意志の強さが求められるのかなと思います。
何故なのかというと、1つ障壁になっているのが、部署に関わらずJICAから支給されるパソコンでは原則技術的なソフトウェア―をインストールできないという点です。
申請すればインストールできるようなのですが、気軽には申請を出せないような仕組みになっており、「時間があるときに少し勉強してみる」的なことが難しい雰囲気です。
そんな感じなので、いざ必要になった時に周りの人に聞いても、そのソフトウェアをそもそもインストールしていない人が多く、基本独学で習得しなければいけないと思われます。
実際、技術的なソフトウェアが使えるJICA職員の人は大学、大学院で学んだ人がほどんどで入構後に使用して習得した人はいないのかなと思います。
先日、入構ほやほやの私は以上のような問題をなんとかしようと思ってしまい、「(まずはインストールすることからだ!)」と意気揚々にシステム管理者に「部署によっては全員が必要なソフトウェアもあるので、申請の手続きを簡略化したらどうでしょうか」と連絡したのですが、「社内の手続き変えるのには労力がかかるから無理です」というキラー回答を受けました。。。「(我々の労力はノーカウント?)」という思いながら、そんなにダイレクトに言われてしまうとどうしようもないのかなと思い、やり取りを辞めました。。。
とはいえ、JICA職員も絶対に技術力が必要だと私はまだ信じています。
先日、技術士の勉強をしていた時に、たまたま発見してしまったのですが、国土交通省が毎年発行している「国土交通白書」の中に以下のような記載がありました。
我が国コンサルタントによる調査等の質の向上円滑な案件形成を進めるためには、我が国コンサルタントによる調査、詳細設計等の成果の質のさらなる向上を図る必要がある。このため、我が国コンサルタントの調査等に対する第三者による技術的助言の支援、事業調査の早期段階での我が国企業の知見の聴取及びコンサルタントの業務実施環境の整備等に取り組んでいく。
国土交通白書 第9章 p.334(kokudo.pdf (mlit.go.jp))
第三者からの技術的支援が必要と記載があるのですが、私からすると、まずは発注者である国土交通省やJICAの担当者も、もっと技術力を上げて、質の高い成果品ができるように業務管理をする責任があるのでははないかと思っています。
また、これまで技術力≒技術的なソフトウェアが使えることのように記載していましたが、JICAで必要な技術力というのは、技術的なソフトウェアが使えることや分析ができることよりも自分の得意分野+その周辺分野に関するアカデミックな知識があることが有益なのではと思ったりもします。
例えば、「イギリスでは、この問題に対してこういったアプローチをしている」等が幅広い視野で把握できていると業務管理等において更なる付加価値を加えられたりするのではないかと現在は思っているので、きっと留学経験が役に立つと思います。
有期職員の待遇(留意点)
JICAには様々な種類の有期職員ポストがあります。(詳しくは下記参照)
採用情報・人材募集・研修 | JICAについて – JICA
国際機関では、基本有期職員であるということから、個人的には職員と待遇は変わらないのではと予想していたのですが、ポジションによっては待遇がかなり異なります。
例えば、①賞与がない、②同一ポジションの場合、経験や知識に関係なく給与は一律、③家賃補助がでない、等を今のところ把握していますので、これから有期職員に申し込まれる方は要確認した方が良いかと思われます。
聞いた話によると、募集していたポジションの要件(実務経験年数)を満たしていない方でも受かったケースもありました。。。
ある程度な人材であれば、①、②のようなネガティブな条件があると、自分自身の市場価格の何十%減の給料になることが予想され、契約期間中、ずっと在籍するとは想像しづらいですね。。。
国際協力分野でも”Brain Drain”(頭脳流出)が発生する可能性がありそうだな、と少し懸念しているところです。
最後に
私自身がコンサルタントからJICAに移った立場なので、1つの観点でしかないですが、JICAに入構するならコンサルを経験してから入った方が、仕事がやりやすかったり、実現性の高いものをコンサルタントに提案できたりするのではないかと思います。
一方で、留学というのはコンサルタントからJICA、JICAからコンサルタントというシフトがしやすい良い転換期なのかなと思います。
これも個人的な経験でしかありませんが、留学時に得た知識、技術は、日本のコンサルタントでもなかなか持っている人は少ないのかなと思います。
なので、極端な話、全く別業種でも留学先で何を学んだか、何を得たかによっては、JICAでもコンサルタントにでもなれるのではないかと思います。
技術力という点については、結局自分次第ではないかという一般的なところに落ち着いてしまいましたが、留学で視野を広げたりすることがJICAで働く上で必要な技術力なのではないかと思っているところです。
有期職員の待遇面については、応募前にしっかり確認されることをおすすめします。
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